みかんはすきですか?
甘くて少しすっぱくて、とてもおいしいですよね。
なぜ果物はあまい味やすっぱい味がするのでしょうか?
それは、植物を構成する植物細胞の液胞の中に、甘い物質やすっぱい物質を貯めているからです。
植物細胞の液胞について
植物細胞の特徴のひとつは、大きな液胞を持つことです。
タプタプの水が入った大きな袋のイメージです。
この液胞の中に甘い物質やすっぱい物質などの植物が作り出したものを貯めています。
液胞の働きの一つとして「細胞内の貯蔵庫」といわれるのはこのためです。
液胞に貯えられている物質
液胞に蓄えられている植物が作り出す主な物質の甘い物質・酸味のある物質・毒性を持つ物質についてそれぞれまとめてみました。
甘い物質(糖)
液胞には糖が貯えられています。
液胞内の糖は、ブドウ糖・ショ糖・果糖の3種類です。
それぞれ味や甘味の強さが異なります。
そのため、どの糖をどくらいの割合で蓄えているかで味が異なってきます。
これは植物の種類によっても異なりますし、同じ果物でも品種や系統によっても異なります。
例えば、メロン。
高級マスクメロンと給食のメロンを食べた時の味わいを思い起こしてみてください。
どちらも甘いメロンでも、甘味は異なる味わいではなかったでしょうか。
甘味の差がブドウ糖・ショ糖・果糖の割合の差なのです。
一般的に高級メロンはブドウ糖や果糖の割合が高めなのに対し、安価メロンはショ糖が高めであるようです。
そのため、高級メロンは後味のさわやかなさっぱりとした甘みなのに対し、安価メロンはガツンとした力強い甘さを持っています。
今度メロンを食べる時、ブドウ糖・ショ糖・果糖の割合について思いをはせながら食べると楽しいかもしれません。
酸味のある物質(酸)
液胞には酸っぱさの素も貯えられます。
リンゴ酸とクエン酸です。
これも、果物によってどちらの酸を貯めるか決まっています。
ミカンなどの柑橘系はクエン酸を貯め、
リンゴやモモはリンゴ酸を貯めるタイプの果実です。
どちらの酸も果物の熟成と共に分解されて減っていきます。
よーく熟した果物から酸っぱさがなくなっていくのは酸味が分解されたからなのです。
毒性を持つ物質(アルカロイド)
植物は液胞に毒性を持つ物質も貯えています。
なぜ毒を蓄える植物がいるのでしょうか。
植物には足が無いので、捕食しようとする虫などから逃げることができません。
そのため、毒を貯えることで自衛していると考えられています。
植物の生産する毒性をもつ物質は、アルカロイドと総称されるものです。
代表的なものとしては、
猛毒で知られるトリカブトの作るアコニチン、
タバコの葉に含まれるニコチン、
コーヒーなどのカフェインなどです。
トリカブトやタバコは毒!てイメージがありますが、
カフェインも仲間なのですね!
もちろん毒性は全く異なるとは思いますが。
小さいこどもには麦茶などのノンカフェイン飲料をあげましょうとされるのもなんだか納得です。
さて、このアルカロイドですが、種類は1万2千種類以上もあるとされ、
毒薬として怖れられる存在としてだけでなく、嗜好品や抗がん剤などの医薬品として利用されているものも少なくありません。
ここまで毒性について少し調べてみて、疑問に思いました。
アルカロイドって本当に液胞の中にあるのでしょうか。
というのも、私の中で液胞ってタプタプの水袋のイメージです。
そして液胞の中に貯められる物質は水に溶ける物質であると思ってました。
糖や酸は水溶性です。
他にも、紅葉や花びらの色の素となるアントシアニンも液胞に蓄えられる物質ですが、
これも水溶性です。
色の素でも、黄色の素であるカロテノイドは液胞内に貯められていません。カロテノイドが液胞内に貯められていないのは脂溶性だからと考えると筋がとおっています。
アルカロイドは熱湯にはとけるものも多いですが、水溶性ではないようなのです。
コーヒーや紅茶を飲むときに熱湯を注いで抽出しますものね。
でも水出し紅茶とかもあるので、溶けないわけではなさそうなのでしょうか。
自衛のための毒性物質なので、自分を傷つけないように液胞にすこーし溶ける分だけにしているのでしょうか。
なかなか納得できる、アルカロイドだけが水溶性ではないのに液胞に蓄積されている理由が見えてきません。
うーん。
若干のもやもやを心に抱えながら、今日もみかんの甘味と酸味を感じています。