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紅葉とニンジンの赤色は違う赤色!植物の色について【植物細胞の液胞2】

春になると色とりどりの花を咲かせ、秋には赤や黄色に紅葉する植物って、ちょっと考えると不思議だと思いませんか?

もともと、植物には葉っぱの緑色しか存在していないのに、なぜ緑色以外の色になることができるのでしょうか。そんな植物が色付くしくみについてまとめてみました。

 

植物を色付くヒミツは、細胞の中の大きな液胞!

植物のからだは、植物細胞が集まってできています。

では、植物細胞のどの部分が、植物が色づく際に重要なのでしょうか?

色とりどりの植物になる時に重要な役割を担っているのは、植物細胞の中の大きな液胞です。

植物のからだをつくっている植物細胞は、動物細胞と比べて、大きな液胞を持っていることが特徴の一つです。

成長した植物細胞では、細胞内の50%以上を液胞が占めていることもあります。液胞の中身は水分なので、細胞一つ一つがタプタプの水袋をもっている様子をイメージするとよいかと思います。

生きた植物細胞は日々、光合成代謝をすることで養分などを作り出しています。植物は作った物質のいくつかは、その水袋(液胞)に溶かし込んで貯めているのです。液胞に貯められる物質はさまざまです。甘味を持つ物質だったり、酸味を持つ物質だったり、毒性を持つ物質だったり…

 

液胞に色素が貯まると、発色!

液胞の中には、色の素も貯められています。

細胞が生またすぐは、液胞には色素はほとんどありません。その後成長と共に少しずつ液胞に色素が貯まっていき、たくさんの色素が貯まると細胞が発色します。発色した細胞の集合体も色がついて見えます。これが花弁や紅葉した葉というわけです。

花びらって、つぼみの中では白っぽい状態で、だんだんと色づいていきますよね。だんだんと色がついている時が、まさに液胞の中に色素がたまっている状態というわけなのです。

 

液胞以外が関わっている場合もあります。

植物の発色には、液胞以外が要因の場合もあります。例えば、葉っぱが緑色に見えるのも液胞以外が関わっています。葉緑体です。葉緑体の中には、クロロフィルという色素があり、これが緑色の色素なのです。液胞以外の、色素をもつ細胞小器官を色素体といいます。

植物が発色するのは、液胞内の色素による場合と、色素体の色素による場合があるというわけですね。

 

ニンジンの赤色と紅葉の赤色は違う赤色!

液胞の中の色素により発色する植物と、色素体により発色する植物では、違いはあるのでしょうか。

 

色素は大きくフラボノイド系とカロテノイド系に分けることができます。

この中で液胞に貯まるのは水溶性のフラボノイド系色素のみです。前述したように、液胞の中身は主に水分ですから、液胞に貯められる色素は水溶性のものだけだからです。フラボノイド系で有名な色素のは、葉を紅葉させる色素であるアントシアニンです。

ニンジンなどに多く含まれているカロテノイド系の色素は脂溶性のため液胞内には存在せず、細胞質内に散らばり、色素体を構成します。

同じ赤いの色合いでも、ニンジンと紅葉した葉ではちがう色素で、細胞の違う場所に存在しているということですね!

 

違いを観察してみたい!

もしも光学顕微鏡を持っているならば、ぜひ色のついた植物の細胞を観察してみて下さい。倍率は400倍がわかりやすく見えます。

と、いっても、顕微鏡を持っていいるご家庭ってどのくらいあるのですかね。結構少ないのではと思います。我が家にもありません。今私が欲しい顕微鏡はハンディータイプのものです。あまり倍率は高くないのですが、スマホでも撮影可能だし、すごく魅力的です。自分用に買うのはちょっと気が引けるので、こどもにサンタクロースさんにお願いするように誘導しているのですが、今のところゲームソフトに連敗中です。

さて、顕微鏡で細胞を観察してみると、細胞全体に色づいてみえるものと、細胞の中に色づいた粒粒がみえるものとに分類できると思います。

細胞全体が色づいて見えれば、その色素はフラボノイド系で液胞に貯まっていると判断できます。液胞は細胞の大部分を占めているので、細胞全体に色がついた状態で見ることができるためです。

一方、色付いた粒粒が細胞内に散らばって見えたならば、その色素はカロテノイド系です。粒粒こそが色素体なのです。

 液胞内の色素によって発色する植物の代表例は、ブドウやナスの皮、ツツジの花びらなどがあります。

色素体の色素によって発色する植物例は、ミカンやニンジン、ニガウリの花びらなどです。

 

顕微鏡以外に調べる方法!

顕微鏡を持っていなくても、区別できそうな方法を思いつきました。植物の調べたい色の部分をすりおろして、それを手で触ってみるのはどうでしょうか。指が染まれば液胞内の色素によって色づいた植物で、染まりにくければ色素体の色素による植物と判断できそうかなと考えたのです。

フラボノイド系は水に溶ける性質なので、すりおろすと色がでやすく、脂溶性のカロテノイド系はすりおろしても色がでにくいのではないかと予想してみたのです。

フラボノイド系色素を持つブドウは、食べると手に紫色

がとてもつきます。けれども、カロテノイド系色素を持つミカンを食べた時は、手に黄色があまりつきません。また、カロテノイド系色素を持つニンジンを鍋に入れても、スープが朱色に変化していくことはあまりないないですが、ニンジンを油で炒めると油が朱色になり、油に色素が溶けたことがわかります。

ちなみに、そんなに体を張る必要はなく、ティッシュやガーゼを染めてみて、水洗いできれいになれば液胞内の色素、ならなければ色素体と判断するので十分可能かもしれません。

 

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