日常を科学したい

理系ママが、日常生活のなかの理科雑学について、ちょっと詳しく書いています。

DNAができることは、実はひとつだけなのです【生物基礎】

私たち生物のからだを構成する細胞の核の中には、DNAがあることはご存じの方も多いかと思います。

生命の設計図ともいわれるDNAには、体内のありとあらゆる情報が入っているようなイメージを持っていませんか?しかし実は、DNAができることは、タンパク質をつくることだけなのです。

 

 

 

例えるならば、DNAは設計書である

車という物体を想像してください。

一台の車は、様々な部品からできています。

それらの部品は適当につくっているのではなく、設計図に基づいて作られています。

 

ヒトのカラダもおなじです。

一人のヒトをみてみると、さまざまな物質でできていることがわかります。

筋肉や、コラーゲンや、ホルモンや、酵素などなど。これら全てがタンパク質でできているのです。つまり、ヒトのからだは、タンパク質というパーツでできているといえるのです。

そして、タンパク質を作る際の設計図となっているのが、DNAというわけです。

 

構成物質からみてもタンパク質は重要です。

ヒトを構成する物質で一番多いのは「水」なのは有名ですよね。全体の70%は水でできています。

そして、その次に多い構成物質は、「タンパク質」なのです。全体の約20%を占めています。つまり、からだの90%がたった2つの物質でできているというわけです。

そのくらいタンパク質は生物にとって必要な物質ということが、この結果からも納得できるかと思います。

 

 DNAができることは、タンパク質をつくることだけ

DNAに書かれている遺伝情報は、4種類の塩基の並び順で決まります。

遺伝情報は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基配列だけなのです!

たった4種類でできることは非常に限られています。

塩基3つがセットになって、1つのアミノ酸を指定していますアミノ酸の作られる順番と、結合する数だけを指定しているだけです。

作られたアミノ酸には、+の性質をもつものと、-の性質をもつものが存在します。決められた順番で鎖のように作られると、自然と+部分と-部分が引きつけ合い、立体構造を形作ります。

そうなのです。DNAはアミノ酸の数と種類を指定しているだけで、どんな立体構造をつくるかの情報は、DNAから直接は一切発信されていないのです。

このようにして、4種類の文字しか持たないDNAでも、10万種類以上と言われる、様々なタンパク質を作り出すことができるというわけなのです。でも、あくまでDNAがつくれるのは、タンパク質だけです。

 

遊んで学ぼう!遺伝子発現ゲーム<謎解きゲーム風にタンパク質を合成しよう>

 

でもカラダって、タンパク質以外もあるよね?歯とか骨とか!

タンパク質と無縁と思える歯や骨も、DNAの情報を基に作られています。

タンパク質しかつくれないはずのDNAが、どのようにカルシウムなどの無機リン酸から構成されている歯や骨をつくることができるのでしょうか。

それは、歯や骨をつくるときに関わるDNAの塩基配列には、コラーゲンとよばれるタンパク質の情報が書かれているとされています。

DNAの情報をもとに作られたタンパク質は、網の目のように組合いながら、歯や骨の形を作り上げていきます。その後、その網目の中にカルシウムなどの無機塩類が入り込んでいきます。最終的には、網目にギッチリとカルシウムが入り込み、大部分がカルシウムでできている物質ができあがるということです。

ざっくりとしたイメージでの説明になってしまいましたが、うまく伝えわりましたでしょうか。このように、歯や骨をつくる時も、DNAが指定しているのはタンパク質についてだけなのです。

 

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