日常を科学したい

理系ママが、日常生活のなかの理科雑学について、ちょっと詳しく書いています。

学校で学んだウイルス|ウイルスの感染:コロナウイルスの場合【生物-飲食作用】

  新しいウイルスの脅威と向き合う今こそ、教科書レベルの知識をもう一度確認してはいかがでしょうか。

高校生物の教科書レベルで出てくる、ウイルスに関する部分を集めてみました。

今回は、ウイスルの感染の流れについてです。

ウイルスは、なんて狡猾に進化した物体なのだろうと改めて感じると思います! 

 ★ここでの教科書レベルとは、正統派参考書「チャート式シリーズ 高校生物」にのっているくらいのものをイメージしています

 

 

 

【あらかじめ知っていると、この先ベンリな知識】

・ウイルスはタンパク質と核酸(DNAやRNA)だけでできている。

・ウイルスは自力で子孫を残せない。他の生きている細胞に寄生し、細胞の中の材料やエネルギーを奪うことで、自分の子孫を作っている。

 

コロナウイルスに特有なこと

コロナやインフルエンザのウイルスは、核酸としてRNAをもっています。

一般的にRNAを持つウイルスの方が変異しやすいです。

また、核酸が入ったタンパク質の殻の更に外側に、薄い膜(エンベロープ)をもつウイスルです。

エンベロープには、タンパク質のトゲトゲがたくさん突き刺さっています

コロナウイスルがトゲトゲしている形なのは、刺さったタンパク質が理由なのです。

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ウイルスの感染の大まかな流れは、「吸着→侵入→合成→放出」

ウイルスによって、吸着の方法も侵入、合成、放出の方法も異なります。まだ解明されていない部分もたくさんあります。

今回は、コロナウイルスなどの外側に膜のあるウイルスの感染の流れをまとめていきます。

コロナウイルスは教科書では直接は出てきませんが、細胞に大きな物質が入るしくみ(エンドサイトーシス)が該当します。

 

 

コロナウイスルの感染方法

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それでは、ウイルスが細胞に感染する流れを「吸着→侵入→合成→放出」の順に追っていきましょう。

 

①吸着

ウイスルは寄生する細胞に吸着します。この時、ウイルスの外側のトゲトゲ部分のタンパク質を使って吸着します。

 

②侵入

寄生された細胞は、ウイスルの吸着した細胞膜を陥入させ、細胞内に取り込みます。

この行動、ふかん的な視点でみていると、「細胞!それダメー!!」と止めたくなりますよね。自ら敵を招き入れてしまうのですから。

 

実は、異物を取り込む働きは、細胞が自分を守るための自衛手段として普段から行っていることなのです。

上図でいうと、黒い矢印の部分ですね。

細胞が異物を取り込むはたらきを飲食作用(エンドサイトーシス)といいます。

飲食作用を起こす異物は、ウイルスに限定されません。細菌でも花粉でも、異物判定されれば飲食作用が起こります。

 

まずは、飲食作用の流れについてみていきましょう。

細胞に異物が付くと、細胞膜が陥入し細胞内に異物を取り込みます。

細胞膜を窪ませて内側に織り込んで取り込むので、異物の周りは細胞膜だったもので囲まれています。大きなシャボン玉から小さいシャボン玉を内側に作ったイメージです。異物が入った小さいシャボン玉を、膜小胞(エンドソーム)といいます。

エンドソームは、細胞内のリソソームという細胞小器官に運ばれます。リソソームの中には分解酵素がたくさん詰まっていますので、リソソームに運ばれた異物は直ちに分解されます。このようにして細胞は異物を排除しているのです。

敵を捕獲し、専門の部屋で殲滅させた方が、効率的で細胞全体への被害も少ないですよね。素晴らしいしくみが備わっているなんて、生物って本当にすごいです。

 

ウイルスはそんな素晴らしいしくみを逆手にとって感染します。

侵入方法さえも寄生するウイルス!

 

ウイルスも細胞膜に吸着すると、取り込まれてリソソームに運ばれます。

その道中です。ウイルスはなんと、自分の膜もタンパク質の殻もエンドソームに残したまま、自分の核酸だけをスルリと抜け出させるのです!

細胞は核酸の脱走に気が付きません。なにせウイルスのタンパク質はエンドソーム内に残っていますから。いつものようにリソソームに運び、いつものように敵の殲滅を行います。その敵が実は空っぽであることにも気が付かないまま。

エンドソームから脱走したウイルスの核酸は、ついに細胞の核にたどり着きます。そして細胞の核の中に入り込みます。 

細胞のはたらきの全てを決めている中枢部分が核ですから、核に入り込んでしまえばその細胞は、ウイスルの思いのままです。こうしてウイルスは、細胞への侵入を成功させたのです。

 

③合成

細胞の指令本部である核への侵入を成功させたウイルスの核酸あとは、やりたい放題です。

細胞のDNAではなく、自分の核酸をつくるように指示します。細胞はウイスルの核酸を作り始めます。

自分のタンパク質の殻を作るように指示します。トゲトゲ部分のタンパク質の作成も指示します。細胞はウイスルのタンパク質を作り始めます。

 

ウイスルはパーツをバラバラに作り、最後に組み立てていくのです。

 

④放出

バラバラに作られたウイスルのパーツたちは、細胞膜の方へと移動していきます。そして、細胞膜を使ってエンベロープをつくり、感染した細胞から放出されます。新しウイスルの誕生です。

コロナウイルスの膜は、感染された細胞の細胞膜だったものなのです。

放出される最後の最後まで宿主の細胞から奪っていくウイルス!

 

こうして放出されたウイルスは、新たな寄生先の細胞へ吸着し、数を増やしていくのです。

 

防御方法

狡猾なウイルスに対抗するためには何をしたらよいのでしょうか。

1.吸着させない。

私たちができることは、吸着させないことです。

では、吸着させないためには何をすればよいでしょうか。

コロナウイルスのように膜を持つものは、膜を破壊するだけで細胞に吸着できずに働きを失います。

膜に突き刺さっている、トゲトゲ部分のタンパク質が無ければ細胞が取り込むことは無いのですからね。

つまり、ウイルスの膜を破壊すればよいのです。

では、ウイルスの膜はどのように破壊できるのでしょうか?

ウイルスの膜は手洗いやアルコール消毒によって破壊することができます。

高校生物の知識からも、手洗いやアルコール消毒が大事ということがわかりました!

 

 

 

 

 

 

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