学校で学んだウイルス|ウイルスの大きさ【生物基礎-分解能ー】
新しいウイルスの脅威と向き合う今こそ、教科書レベルの知識をもう一度確認してはいかがでしょうか。
高校生物基礎と生物でも、実はいろいろなところにウイルスについての記載が存在します。そこで、高校生物の教科書レベルで出てくる、ウイルスに関する部分を集めてみました。今回はウイルスの大きさに注目しました。
★ここでの教科書レベルとは、「チャート式シリーズ 高校生物」にのっているくらいのものをイメージしています。最も正統派な参考書のひとつ!
ウイルスはとても小さい。
ウイルスの大きさはとても小さいです。
菌などの小さい生物の細胞と比べても、ずっと小さいです。
ウイルスの中身はDNAやRNAといった核酸だけです。ウイスルが簡単な構造なのも小さい理由かもしれません。
※ウイルス構造については、 こちらのブログに書かせて頂いています。よろしければご覧ください。
細胞とウイルスの大きさ比べ
生物を構成している細胞とウイルスの大きさを比べてみましょう。
まずは大腸菌と比較します。大腸菌は生物の中でも小さい細胞の持ち主です。
ウイルスの直径が、20 nm~300 nmなのに対し、大腸菌は3 μmあります。10倍の大きさです。
大きな細胞とも比較してみましょう。身近な大きな細胞としては、ニワトリの卵黄があります。卵黄はそれ自身が1つの細胞なのです。大きいですよね。その直径は25 mmで、ウイルスのなんと100万倍の大きさになります。
ちなみに、ヒトの上皮細胞の100μmなので、ウイスルよりもだいぶ大きいですね。
このように、ウイルスは非常に小さい存在なのです。
<図Ⅰ 細胞とウイスルの大きさの比較>
※長さの単位について
・「nm」は、ナノメートルと読みます。1000000 nm=1 mm です。
・「μm」は、マイクロメートルと読みます。ミクロンという人もいます。同じです。1000 μm= 1 mm です。
小さすぎてイメージできないから、、mm(ミリメートル)で考える
ウイルスの直径20 nm~300 nmを、一番日常生活で親しんでいるmm(ミリメートル)の単位にしてみましょう。
ウイルスが、どのくらいの大きさかをイメージしやすくなるかもしれません。
1000000 nm=1 mmなので、1nm=0.000001 mmになります。
つまり、ウイルスの直径は、0.00002 mm~0.0003 mmです。
定規の一番小さい1メモリの1mmを、10万分割した時の大きさになります。
イメージしやすくなりましたでしょうか?
…なりませんよね。
そもそも10万個に分割した経験も、ほとんどのヒトがないですものね。具体的な大きさをイメージするのは無理でしたが、ウイスルは本当に小さい印象だけでも持つことができたら嬉しいです^^;
ガーゼマスクは3層仕立て以上がおすすめ!(理論上は)
こんなに小さいウイスルに対して、マスクは有効なのでしょうか?今回の知識だけで考えても有効であるといえます。特に、自分がウイスルをまき散らさないという点では有効です。
一般的に、サージカルマスクの繊維の隙間は5μm四方で、布マスクのガーゼは20μmといわれています。0.3μmの大きいウイルスと比べてもだいぶ大きいですよね。
それならば一見、効果がないようにかんじることでしょう。しかし、ここでウイルスの特性がポイントになってくるのです。
ウイスルは「生きている細胞内にしか寄生できない」のです。
つまり、世の中にウイルス単体でウヨウヨ活動していることはないのです。
ウイルスはさっきまで生きていた細胞や、さっきまで生体内にあった分泌物の中にしか存在していません。
つまり、コロナウイスルやインフルエンザウイルスは飛沫感染と言われているので、飛沫を防ぐことができればよいのです。
一般的に飛沫の大きさは5μmなので、サージカルマスクはほぼ通り抜けることはできません。
布マスクも通常一枚では作られていませんよね。2~4枚の布が重なっていると思います。一枚の隙間が20μmでも、2枚になると隙間は半分の10μmになり、3枚になると隙間はその半分の5μmになります。布マスクも3層以上だと飛沫の拡散を防止できるのです。あくまで計算上はですが。
というわけで、サージカルマスクも布マスクも感染拡大に有効であると考えられます。
※桁は指数で表すと非常に便利です。
さて、ゼロをたくさん書くと、数えるのも読むのも大変ですよね。理科の中ではよく、桁を指数で表します。103μmとか、106nmとか。
一見とっつきにくそうですが、わかってしまえば単純で便利です。
1000は、10×10×10ですよね。つまり103。ゼロの数の分だけ数字で表しているだけです。
10の上に書かれている数字がゼロの数だとわかれば、桁が増えても恐れることはありません。同じように当てはめていけばよいのですから。
100=102、1000=103、10000=104、100000=105、1000000=106…
どんなに大きい桁になっても、必ず3文字で表せることができるので、省スペースですし、比較もしやすいです。
ちなみに、小数点以下の小さい桁もマイナスを使えば、同様に指数で表すことができます。
0.001は、1/1000と同じですよね。なので10-3。こちらもゼロの分だけ数字で表しているだけなのです。
0.01=10-2、0.001=10-3、0.0001=10-4、0.00001=10-5、0.000001=10-6…
つまり、1m=103mm=106μm=109μmであり、1nm=10-3μm=10-6mm=10-9mmというわけなのです。こちらの方が、スッキリして見やすいと思いませんか。
ウイルスは電子顕微鏡で観察できる
非常に小さいウイルスですから、肉眼ではもちろん見ることができません。ウイスルを観察するには、電子顕微鏡という高性能の顕微鏡をつかう必要があるのです。
※分解能について
肉眼で見分けられる最小の大きさは0.2㎜と言われています。
この長さを分解能といいます。分解能とは、接近した2点を2点として見分けられる最小の間隔を指します。
具体的に説明していきます。
2つの点を書きます。この2点をだんだん近づけていきます。どのくらいの間隔まで2つの点と見分けられるかを調べた時、2点であると見分けられる一番小さい間隔を分解能とするわけです。
ヒトの分解能は0.2㎜→ウイルスは観察できないけれど案外すごい!
ヒトの肉眼の分解能が0.2㎜って、よく考えるとすごい高性能だと思いませんか?
定規の一番小さいメモリ(1㎜)の中に、4つ点を書いても見分けられる力を肉眼が持っていると言っているのですから。お米にお経を書ける人とかいるのも納得です。
光学顕微鏡の分解能は0.2μm→ウイスルの観察はできない
普通の顕微鏡(光学顕微鏡)の分解能は0.2μmです。
肉眼で見分けられなくなってから、顕微鏡の分解能までの大きさのものを観察するときは、顕微鏡で観察するのが一番よいというわけです。0.2μm~200μmですね。
ウイルスの大きさは20 nm~300 nm、つまり0.02μm~0.3μmなので、一番大きいウイルスでも、小さな小さな点としてしかみることができません。
光学顕微鏡ではウイスルの形や構造を観察することができないのです。
電子顕微鏡の分解能は0.2nm→ウイルスを観察できる!
光学顕微鏡よりもさらに高い性能をもつ顕微鏡として、電子顕微鏡があります。
光の代わりに電子線を使って観察する顕微鏡です。光も電子も「波」であるため、電子線も顕微鏡に利用できるのです。
電子顕微鏡の分解能は0.2nmです。ウイルスも電子顕微鏡ならば、十分観察できますね。
ちなみにこの電子顕微鏡、カラーでは見ることはできません。白黒だとわかりにくいので、電子顕微鏡で見た写真は、後からわかりやすいように色付けされることが多いです。好きな色にすることができるので、わかりやすいようにビビットな色で塗られた、美しいカラフルな画像になることが多いです。
なんと、あまりの美しさに写真集がでているんです!不思議な世界に引き込まれて楽しいです。どのくらい魅惑のカラフルな画像かをお伝えしたかったのですが、言葉ではうまく表せず。。無念。
気になる方は、下記画像のAmazonリンクからのサンプル画像でご覧くださいー。すみません。。