単細胞生物のゾウリムシの、ご飯の食べ方。「へぇー」と思ったこと!
微生物のゾウリムシのご飯の食べ方について,「へぇ~」と思ったことを紹介します。
ゾウリムシとは??
ゾウリムシは、淡水生の無脊椎動物です。下記のイラストのような姿かたちをしています。
一度は,理科の授業の中で目にした方も多いのではないでしょうか。
ゾウリムシの大きさは直径0.2mmくらいです。
とても小さいですが、実はヒトの肉眼でもギリギリ見ることができる大きさです。
ゾウリムシを入れた水槽をよーーく見ると、クルクルと回転しながら泳いでいる姿をみることができます。クルクルウネウネした泳ぎ方は、ずっと見ているとだんだん可愛らしく思えてくるので不思議です。
肉眼でみられるゾウリムシは微生物の中では大きいサイズといえるでしょう。
※肉眼でぎりぎり見える大きさのことを「肉眼の分解能」と言います。分解能について、こちらのブログで書いています。
学校で学んだウイルス|ウイルスの大きさ【生物基礎-分解能ー】
ゾウリムシとヒトのちがうところ
ヒトは数千兆個もの細胞がそれぞれの役割を分担している多細胞生物です。口の細胞は口のはたらきだけを担当しており,目のはたらきや皮膚のはたらきはできません。
一方でゾウリムシは,たったひとつの細胞だけでできている単細胞生物です。ひとつだけの細胞の中に,口や核やポンプなど、生きるための機能をすべて備えているのです。
ゾウリムシの口は「細胞口」
ゾウリムシの口は,「細胞口」とよばれています。
図の赤丸で囲んだこの部分ですね。
口と言ってもモグモグしているわけではなく、常に開けているくぼみ状のものです。
ゾウリムシが移動することで、赤矢印の方向から細胞口のくぼみの中に、エサのバクテリアが入ってくるしくみです。
細胞口に入ったあとは…
細胞口の最奥へ到達すると、バクテリアごと細胞膜が陥入し、カプセル状の小胞として体内に取り込まれます。
その小胞に体内の消化酵素がはたらき消化が始まります。
消化しきれなかった部分は小胞が体の外の細胞膜にもう一度融合し、からだの外へと排出されます。排出される部分は、「細胞肛門」といわれています。
細胞の中に口も肛門もあるなんて、なんだか高機能な細胞ですよね。
ゾウリムシの消化と同じ方法は、ヒトの細胞内でも行われている!
ゾウリムシの細胞ばかりが高機能なわけではありません。
実は、ゾウリムシの食物を取り込むしくみは、私たちヒトのような多細胞生物の細胞も同様の機能を持っているのです!
この方法は、エンドサイトーシス(飲食作用)といって、比較的大きな物質を細胞内に取り込む際に行われている、細胞のはたらきです。
ちなみに、このはたらきが利用されてしまうことで、ウイルスなどが体内に侵入します。
我々ヒトとゾウリムシは全くちがうのに、ゾウリムシがご飯の食べるのと同じ仕組みを、ヒトの細胞も行っているなんて、とてもおもしろいですよね。