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共通テストを【一問ずつ丁寧に解説】生物基礎2024年度令和6年度「第1問A問1」

2024年度の共通テストの問題を、分析マニアの元高校生物教師が一問ずつ丁寧に解説していきます。今回は、第1問Aの問1の解説です。

解答番号は各予備校発表のものと照らし合わせて間違いがないことを確認しておりますが、もし気になる点ございましたらご連絡ください。

 

<読んで欲しい人。こんな方々に有効な記事です>

・共通テスト生物基礎をほぼはじめて解く人

・点数が伸び悩んでいる人

・2024年の共通テスト生物基礎の内容を知りたい人

・生物好きな人

・生物基礎が受験に必要な人

 

◆共通テスト問題参照先

令和6年(2024年)大学入学共通テスト 解答

 

 

問題(内容要約)「原核細胞と真核細胞で共通する特徴に、当てはまらないものを選べ。」

原核細胞と真核細胞で共通する特徴に当てはまらないものを選べ。

 

選択肢(注視する部分を抽出)

①ATPの利用

酵素の反応

③異化のしくみ

④細胞膜

ミトコンドリア葉緑体(= 細胞小器官)

 

答え

ミトコンドリア葉緑体(= 細胞小器官)

 

解説

原核細胞と真核細胞の相違点と共通点を理解していれば解ける知識問題です。

2つの細胞内の違いは、細胞小器官の有無です。

ですから、ミトコンドリア葉緑体が細胞小器官であると知っていれば、迷うことなく⑤を選べるでしょう。

 

ポイント「原核細胞と真核細胞の違い」

原核細胞と真核細胞の違いは、細胞小器官(細胞内の構造体)の有無です。

細胞小器官は、真核細胞にはありますが、原核細胞にはありません。原核細胞はDNAもむき出しです。

細胞をカバンとすると、

真核細胞は水筒、お財布、ポーチと、中身を分けているカバンなのに対して、

原核細胞は全て直接入れているカバンのイメージでしょうか。

お金も飲み水もコードも直入れているカバン…。

破綻しそうです。

でも、そんな直に入れるカバンでも、とても小さいサイズだったらどうにかなりそうですよね。

 

と、いうわけで、原核細胞の大きさも、真核細胞にくらべて小さいという特徴があります。

 

 

不正解の選択肢も確認して、過去問をコスパよく利用

この問題は無事に解くことできました。

しかし、このまま次の問題に行くのはとてもモッタイナイ

最大限に過去問を活用して、点数の底上げをしたい方は、ぜひ不正解の選択肢にも注目してください。

 

共通テスト過去問の効率の良い活用方法

せっかく過去問を解くからには、最大限に活用していきたいですよね。

共通テストの過去問の最も効率の良い利用方法は、「選ばなかった選択肢にも注目する」ことです。ぜひ、正解以外の選択肢の内容も、吟味してください。

 

具体的には、正解以外の選択肢で、どの部分がどのように違うのかを他の人に説明できればOKです。

 

このように、じっくりと隅々まで解くことで、問題の理解を深めるだけでなく、共通テストの傾向や癖も掴むこともできますし、類似の問にも対応できるようになるはずです。

 

「解いて正解する」だけだともったいないです!不正解の選択肢にも注目することが、過去問の最大限な活用方法と言えるでしょう!

 

共通テスト過去問の活用方法

<これができればOK>

不正解の選択肢が、どうして不正解なのかを説明できる

<メリット>
問題の知識理解が深まる

共通テストの傾向や癖を掴める

類似の問題に対応できる

 

不正解の選択肢の解説

それでは、不正解の選択肢①〜④のどの部分が誤っているのかを、ひとつずつみていきます。

 

 今回の問題は、当てはまらないものを聞いているので、原核細胞も真核細胞もどちらも持っている特徴だったら、不正解となります。

つまり、不正解の選択肢は、全生物で共通している特徴であることが確認できればOKということです。

 

しかし、全生物の共通性は3つだけです。

代謝のしくみをもつ」

「細胞でできている」

「遺伝子で子孫に情報を伝える」

不正解の選択肢①〜④の語句はどれもが、当てはまりません。

そこで、ここでは、不正解の選択肢①〜④が、全生物の共通性とどのように関わっているのかを解説していきます。

 

①ATP

①ATP→ 生体内の化学反応(代謝)内の化学エネルギーを仲介する物質。化学エネルギーの運び屋さんといったイメージでしょうか。

代謝には欠かせない存在です。

 

 さて、全生物の共通点に「代謝がありますよね 。

 

と、いうことは、代謝の化学エネルギー運搬するATPも全生物で共通していることになります。

 

 

酵素反応

酵素反応→生体内の化学反応(代謝)を促進させているタンパク質の触媒酵素が無いと、代謝はうまく進みません。

代謝には欠かせない存在です。

 

 さて、全生物の共通点に「代謝がありますよね。と、いうことは、代謝を促進する酵素も全生物で共通していることになります。

 

そのため、原核細胞から出来ている原核生物も、真核細胞から出来ている真核生物も、酵素反応するという特徴は、「あてはまる」と言えます。

 

③異化

③異化→代謝の中で、複雑な物質を単純な物質に分解して、化学エネルギーを取り出す反応のこと。取り出した化学エネルギーは生物が生きるためのエネルギーに利用される。

代表的な異化は呼吸。炭素有機物を二酸化炭素や水に分解して、エネルギーを取り出す。

異化は代謝の一部です。

 

 さて、全生物の共通点に「代謝がありますよね。異化は代謝の一部です。つまり、代謝のしくみをもつ生物は、異化の仕組みも持っています

 

よって、全生物で、異化のしくみをもつという特徴は、「あてはまる」と言えます。

 

ちなみに、代謝の中でも、異化とは逆の化学反応を「同化」と言います。

単純な物質を複雑な物質に合成して、化学エネルギーを蓄える反応です。

 

 さて、同化のしくみは全生物で共通する特徴でしょうか。

同化も全生物で共通するしくみです。

 

実はこれ、代表的な同化は「光合成」と頭に入っている方ほど、間違いやすい点なのでご注意ください。

 

私たちヒトも、同化のしくみを持っています。

わかりやすい例としては、高カロリー食品を食べると、タプタプのぜい肉が合成されるイメージをしてみてください。

食品中の脂肪酸などの単純な物質が合成して、複雑な構造のぜい肉になっていますよね。

すなわち、ぜい肉が合成される際に、今は生きるのに使わないエネルギーを蓄えていたというわけです。

まさに、単純な物質を複雑な物質に合成して、化学エネルギーを蓄える反応(同化)ですよね。

 

④細胞膜

④細胞膜→細胞の内側と外側の区切りとなる生体膜

 

全生物の共通点に「細胞で構成される」がありますよね。

 

と、いうことは、細胞と細胞外を区切っている細胞膜も、全生物で共通していることになります。

 

◆不正解の選択肢を理解する時に必要な知識はこれだけ!

〈生物の共通性3つ〉

代謝のしくみをもつ

 →代謝は「同化」と「異化」に分類できる。

 →代謝のエネルギーはATPが運ぶ。

 →代謝酵素が触媒する。

 

細胞でできている

 →細胞は細胞膜で囲まれている

 

遺伝子で子孫に情報を伝える(←今回は使用せず。)

  →遺伝子の本体はDNA

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。何かお役に立てれば幸いです。

それでは、残りの問題もひとつずつ丁寧に解説していきます。

 

 

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