生物学とは、見つけて、分けて、話す学問?!【多様性・共通性・階層性】
「生物学とは」についてを考えてみることにしました。
「生物って暗記教科だよね。」
教員時代にたまに生徒から聞く言葉でした。確かに生物は覚えるべき用語が多くあるので、違うとは言い切れず、返答に困ったものです。
私がよくしていた返答はこんなかんじです。
「生物の授業では、自分のからだや、我々をとりまく環境を知り、そのしくみを説明できることを目的にしているのだよ。暗記した用語は説明の際の道具に過ぎないのさ。説明できたら楽しいと思いませんか?」
生徒たちは一応納得した様子を見せてくれますが、
「そうだね!!」と共感するところまではしてもらえないもどかしさがありました。
今思いかえしてみると、返答がざっくりしすぎて、共感するところまで落とし込むことができなかったのかもしれません。私の中でも生物学の暗記じゃない理由がわかっていなかったのかもしれないな。と。
そこで、今一度、生物学とは何かを考えていきます。
「生物学」とはズバリ
「生物学」とはズバリ、
生き物を観察し、違うところと同じところを見つけ、
仲間分けをして、しくみを説明する学問です。
あくまで私の中での認識ですが、他の生物に関わる方々の認識とも大きな相違はないはずと思っています。
上記の文言の中には、生物をの語る上で大事な考え方が3つ入っています。それは、「多様性」と、「共通性」と、「階層性」です。
- 多様性…いろいろあるよ。
- 共通性…みんな持っているよ。
- 階層性…仲間分けできるよ。
くだけた言い方にすると
「地球上の気になったことを観察して、スケッチして、測定して、同じところ(共通性)と違うところ(多様性)を見つけて分類して(階層性)名前をつけようね。分類にしたものを使って、お話ししたら楽しいね。」
と、いうことをしているのが生物学であると言い換えられると思います。
面白そうな学問だと思いますか?
「同じところや違うところを見つけるのは、楽しいのだろうか。」
「同じグループの中の違う部分を話すことなんて、楽しめるわけないでしょうな。」
そう、思われる人も多いことと思います。
しかしこれらは、実は多くの人が日頃から楽しんでいことであるのだと私は主張していきたいと思うのです。
実は多くの人が日頃から楽しんでいことだと考える理由①
まず、何かを集めることが好きな人は多いですよね。コレクター魂の持ち主とでもいうのでしょうか。
その方々は、いろいろな名前と特徴を知るだけでも楽しめている人も多いと思います。
全ての電車名をいえる人もいれば、ゲームキャラクターを全部ゲットとして覚え、育成する人もいます。
アイドルグループの中からメンバーの特徴を見つけて注目する人もいます。
これらは全て、「気になるものを見つけて、同じ特徴を持つグループの中の違う部分を見つけて楽しむ」と言い換えることができるのではないでしょうか。まさに共通性と多様性と階層性の概念の中で楽しんでいるのです!
実は多くの人が日頃から楽しんでいことだと考える理由②
さらに、個々の特徴の繋がりまで考えることを楽しめる人も、結構多くいると思います。
自分と親の顔を見比べた経験はありませんか。その時、
「お母さんも私も目の形はおばあちゃんそっくりだよね。
でもお母さんの耳たぶは薄くて良いな。私は耳たぶまでおばあちゃんと似ていて分厚いじゃない?だからピアスができなくて困ってるの。」
なんて会話をした事はないでしょうか。まさにこれは、同じところを探し、違うところを探し、なぜ違うかを考察していると言えるでしょう。
生物学は日常の延長にあるのです
つまり、生物学が行っていることは、私たちが日常的に楽しんでいることの延長なのです。
ぜひ生物を学ぶ際には、共通性と多様性、階層性の概念を意識してみてください。バラバラに散らばっていた現象が一筋の流れとなることで理解を助けてくれるかもしれません。
そして、日常生活で問題点に直面した際も、「同じところ(共通性)と違うところ(多様性)をみつけ、おなじところとちがうところで仲間分けする(階層性)考え」が問題解決へと導いてくれるかもしれません。