日常を科学したい

理系ママが、日常生活のなかの理科雑学について、ちょっと詳しく書いています。

細胞を発見したロバート・フック【愛すべき研究者たち】

細胞は英語ではcellと言います。初めて名前を付けたのが、ロバート・フックです。どのような人なのかを調べていくと、なかなか個性的な人物だったと知りました。紹介していきます。

 

 

ロバート・フックは、イギリスのワイト島で生まれました。イギリスの科学躍進の礎となる人物で、1635年から1703年までの67年間の生涯でした。

日本では江戸時代初期の頃ですね。

 

業績は多種多様!

生物学では、細胞を最初に名付けた人物として有名です。ロバートフックが顕微鏡で書いたとされるスケッチは、非常に美しいです。

物理分野では、フックの法則で知られる、ばねの伸び(弾性)とおもりの法則を見つけています。フックの法則を利用して、ゼンマイバネを使った携帯型の時計が開発されました。

数学と天文の分野では惑星が楕円の軌道を描いているという数式に関わり、

ダーウィンよりも先に、化石が生物の祖先生物であるとの見解を示したと言われています。

科学分野だけでなく、ロンドンが大火事から復興する際、「主要な道路を広く設置し、細い道を格子状に区切る」方法を提案したのもフックと言われています。現在のロンドンの街並みや他国の都市のスタイルもフックのアイディアがあったからこそなのですね。

歴史学者の中では、「ロンドンのレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されるほど、他分野にわたる才能の持ち主です。

 

フックの性格

フックの性格は、女好きやら病弱で貧相、服装に無頓着など、あまり良いものは残っていません。話し方もちょっと意地悪で皮肉を利かせたものだったと言われています。しかし、あくまでこれはライバルの科学者たちが残した文献に書かれたものです。

近年では、フック自身の日記から社交的で活動家な部分もわかってきました。数学を助手の子供に教えてあげたりしたこともあるようです。

業績からみても、活動的な性格なのはまちがいないように思うのですが、どうなのでしょうかね。

 

ニュートンvsロバート・フック

 ロバート・フック知名度って、高くないと思いませんか?こんなに多くの業績を残したのに不思議ですよね。実はロバートフックの知名度が高くない原因には、有名なある人物が深く関わっているのです。その人物とは、万有引力で有名な「アイザック・ニュートン」です。

 

きっとトコトン合わない性格だったのだと思う。

活動的ですこし皮肉屋なところがある ロバート・フックと、ひたすら真面目なニュートンとの相性は、悪かったようです。

フックとニュートンは共に王立協会と呼ばれるイギリスで作られた権威ある学会の会員でした。ロバートフックは王立協会の立ち上げ当初から関わっており、実験主任を25歳の若さで任されていました。フックよりも10歳ほど若いニュートンニュートン式望遠鏡作成の功績を認められ会員となった時は、ロバートフックの協会内での力はだいぶ大きかったようです。

意気揚々と最初の発表を行ったニュートンをフックはコテンパンにしてしまいます。「新しいところは何もない。すでに私が行ったことの上に内容も間違えている部分があるし。」

ニュートンは深く傷つきます。

その後も二人の天才は研究業績で論争を繰り返すことも多かったようです。自分のアイディアを相手が盗んだ!と公衆の前で論議をすることも。

ひたすらひたすら真面目なニュートンの中で、フックへの負の感情は着実に蓄積されていたにちがいありません。

 

ニュートンはフックの痕跡を消す

フックが亡くなった後、ニュートンは1703年に王立協会の会長となりました。

その際に、徹底的にフックの痕跡を消していったと言われています。

ロバート・フックが開発した実験機器を破棄したり、論文を隠したり、フックの肖像画を破棄したり.…。王立協会の住所まで変更する徹底ぶりです。ニュートンは晩年になっても、フックの名前がでるだけで異常に興奮したという記録があるくらいです。

ニュートンが隠したとするフックの論文が、最近見つかりました。現在は内容の解明が進んでいます。

ニュートンのはたらき(?)により、フックの存在は長い間軽く見られていました。近年その功績が改めて認められていいます。

 

忙しすぎる男フック

25歳の若さでイギリスの王立協会の実験主任に任命されたフック。住居も王立協会の敷地内にあったフックは、敷地内から移動することなく生涯を負えます。ニュートンが王立協会の住所まで移動させたのはこのためかもしれません。

さて、王立協会にはさまざまなアイディアが送られていきます。フックはそのアイディアを実験で試していました。理論を実験に落とし込む作業をしていたのです。様々なアイディアを実験していたので、ニュートンに言ったとされる「もう私がおこなったことだよ」という言葉は、もしかすると本当だったのかもしれません。

しかしながら、フックは行った実験の結果をまとめる時間がありませんでした。忙しすぎたのです。

ジーーーとリンゴの木を眺めていたとされるニュートンとは、時間の過ごし方さえも正反対ですね。

 

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