ウイルスなどの異物は、どこから体内に入ってくるのでしょうか?
大多数が粘膜からです。
侵入した場所で炎症を起こし、ツライ症状をおこします。胃腸炎などの炎症反応を、粘膜に注目してまとめてみました。
人の外側は皮膚と粘膜で覆われている!
ヒトの外側を覆っているものは何でしょうか?皮膚です。そして粘膜です。
皮膚や粘膜のメインの働きは、体内への異物の侵入を阻止することです。
※異物とは、ウイルスや花粉、ほこりや細菌などのことです。
これら異物が体内に侵入してしまうと、カラダの防御機能が働き、患部が腫れたり、体が発熱したりしてしまいます。
そもそも体内に入らないようにしてくれているのが、皮膚や粘膜なのです。
皮膚は戦士!粘膜は魔導士!
皮膚の構造!
皮膚は何層も細胞が重なり合っている構造です。ウイルスなどの異物が、皮膚を超えて体内にはいるためには、何層もの細胞を乗り越えなくてはいけません。
さらに、一番外側の細胞は角質と呼ばれ、とても堅いつくりになっています。皮膚はとても丈夫な構造なのです。
くわえて、皮膚の汗腺からは、定期的に汗を分泌しています。これにより、体表を弱酸性に保つことでも菌の侵入を防いでいます。
皮膚は物理的にも化学的にも菌の侵入を防いでいるのです。
粘膜の構造!
粘膜はどうでしょうか。
皮膚と比べて、粘膜の細胞は1層だけです。強度も柔らかい細胞です。強度はありませんが、1層の粘膜からは絶えず粘液が分泌され、粘液で覆われています。
粘液は数々の酵素を持ち、侵入者を分解することで侵入を防いでいます。
また、喉などの粘膜には繊毛があり、異物を外部で排出する役割をしています。
粘膜も化学的にも物理的にも菌の侵入を防いでいるのです。
皮膚と粘膜を比べよう!
皮膚と粘膜を比べてみましょう。
粘膜は皮膚に比べて、物理的防御が弱い作りになっています。
皮膚は角質による防御がメインで、皮脂や汗のはたらきによる防御が補助的に働くのに対し、粘膜は粘液のはたらきによる化学防御がメインで、繊毛が補助的に働いているからです。
固い鎧を纏った戦士が皮膚で、布のローブを纏った魔導師が粘膜といったところでしょうか。
肌荒れしている時、皮膚からウイルスが侵入しやすくなります。肌荒れとは、皮膚戦士の鎧がボロボロの状態と一緒だからです。
粘膜が粘液で覆われていないとき、粘膜からウイルスが侵入しやすくなります。粘液をもたない粘膜は、MPを封じられた魔道士と同じだからです。
ウイルスの気持ちになってみましょう。
鎧がボロボロの戦士と、魔法が使えない魔導士では、どちらと戦いたいですか?
魔導士の方が勝てそうな印象が強いですよね。鎧がボロボロでも戦士は力が強そうですし、頑丈そうです。一方、魔法が使えない魔導士は、もはやただの人ですものね。
というわけで、一部のウイルスを除き、風邪症状のウイルスが侵入するのは、粘膜からがほとんどなのです。
いろいろな粘膜の炎症
目の充血
上まぶたと下まぶたの裏側、そして白目部分が粘膜で覆われています。
私も今までに、風邪や花粉の症状で、白目が赤く充血したことも、まぶたの裏側が赤くなったことも、何度もありますが、それが目の粘膜が炎症していると考えたことは、案外無かったなぁと振り返ってしみじみしています。
なんとなく、粘膜は鼻や消化管のイメージが強くて、目にも粘膜が存在するという感覚が薄かったです。
ウイルス感染を予防する時は、目の粘膜もケアすることも大切ですね。
鼻づまり
鼻腔全体を粘膜が覆っています。
鼻腔の役割は、外気を体に心地よい大気に調節することです。
一度、鼻の中の空間に溜め込み、冷たすぎる空気は温めてから気管へと送ります。
乾燥しすぎる空気も、鼻腔で一度留まることで、適度な湿度に調整されて気管へと送られていきます。なにせ鼻腔を覆う粘膜は常に潤っているのですから、湿度を与えることも出来るのです。
更に、鼻腔に留まる間に、空気中の異物の排除も行っています。
鼻ははたらきものですね!
口呼吸では、これらのはたらきは弱いので、皆様もぜひ、鼻呼吸を行うように意識してみてください。
ちなみに、北欧の人々が鼻が高いのは、外気が冷たいので鼻腔に留まる時間を長くして、空気を温めるために進化したのだそうです!
鼻腔の粘膜が感染すると、3〜4倍に膨れます。鼻腔内には細かな血管がたくさん通っているので、腫れやすいのです。
すると、空気が出入りしにくくなります。これが鼻詰まりです。小さくなった隙間に粘液が溜まると、更に息苦しく感じることでしょう。
鼻詰まりの原因は、鼻腔の粘膜の腫れであることが多いのです。鼻がつまっている時、いくら鼻をかんでも鼻通りが良くならないのも納得ですよね。
鼻づまりについて参考文献にさせて頂いたサイトです。粘膜の炎症以外にも詳しい図で説明されています。
咽頭炎・胃腸炎
口の中も、胃や小腸、大腸も粘膜で覆われています。
これらの部分にウイルスや細菌などの異物が感染した時に起こるのが咽頭炎や胃腸炎です。
のどの部分が腫れたり、咳やくしゃみが起きるのが咽頭炎です。
のどの風邪といわれる症状です。
胃、小腸、大腸で異物の侵入が起きると胃腸炎になります。症状としては、下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などです。
おなかの風邪といわれる症状です。
また、食中毒も、胃・小腸・大腸に感染が起きたことが原因なことが多いです。ノロウイルス感染やO157などが有名ですね。
肺炎・気管支炎
気管の方にウイルスが侵入し、肺や気管の粘膜が炎症した症状が、肺炎や気管支炎です。
症状としては、咳や痰、発熱などです。特に肺炎は重症化しやすく、お年寄りなどの体力や免疫力が低下したお年寄りなどは特に注意が必要です。
肺炎について参考にさせて頂いたサイトです。
粘膜の炎症を防ぐ方法
粘膜からウイルスなどの異物を体内に入れないためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか。
第一に潤いを忘れないことです。
粘膜は粘液を分泌することで、異物を分解して戦っています。
異物を外部へ排出する繊毛も乾いていると動くことができません。
粘膜は粘液でタプタプしていないと働くことができないのです。
粘液が充分に分泌できない粘膜は、魔法をブロックされた魔導師と同じです。コテンパンにやられます。
つまり、ドライマウス、ドライアイ、ドライノーズにならないようにすることがとても大事です。
具体的には、目薬をこまめにさしたり、水分をこまめに補給したりすると良いでしょう。口呼吸をしがちな方は、鼻呼吸を意識するだけでも粘膜の環境を改善できます。
試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 炎症の原因はウイルスや細菌、抗原や埃などの外界の異物
- 異物は、皮膚からよりも粘膜から侵入しやすい。
- 細菌が侵入した部分によって、様々な症状がでる。
- 異物の侵入を防ぐには、粘膜を潤わせることが大事。